母②

私の母は、認知症専門の病院に入院して2年になります。

コロナの影響で1年半程会えないでいるが、来月は久しぶりに会う予定です。

最後に見舞いに行った時も、もう私の事も分からない状態だったので

正直に言うと会うのが少し怖い。

母の更なる認知症の進行と老いを見るのが怖い。

面会禁止になる前に会った時、手を握ってずっと笑っていたら

私の顔をぼんやりした目で見てたけど、一言だけ

あなた優しい・・・って言ってくれた。

娘だとは分からなくても、何か親しみとか情とかを感じてくれたのだろうかと

淡い期待をした。


母は子供の頃から勉強が好きだったようだ。

でも、父親が亡くなり(私の祖父)中学校へは行けずに

よそのお宅に住み込みのお手伝いさんとして家を出された。

母には兄が2人いるが、その当時という事なのか

男は跡継ぎとして残る為なのか

母だけが家を出された。


私は、子供の頃から本当に耳にタコができる程その当時の

母の悔しさとか惨めさ悲しさを聞かされてきた。

私は、怒りを感じていた。

何故母だけ?どうして伯父達は家に?

母が頂くわずかなお給金は全部実家へと渡るし

そのくせ、奉公に出ている恥ずかしい子として

どことなく透明人間になっていたみたいで

だから、私は母の実家の人達を好きになれなかった。


そんな目にあっているのに不思議だが

母は自分の実家が好きみたいだ

好きと言うより、なんだろう・・・家系にプライドを持っているというか・・・

先祖は○○城の家老だとか、戦争さえなかったらとか

そんな風に考えて、自分の誇りを保っていくしかなかったのかもしれない。


私は子供ながら、母の実家に行くのを楽しみにしている振りをしていた。

そうした方が母が喜ぶと思ったから。


認知症になって、徘徊が始まり沢山の方にご迷惑をかけてしまいました。

今更ながらですが、助けてくれた方に感謝いたします。

母にどこに行こうと思ったの?と聞くと

「ほら、お家に帰らないといけないの。お父さんとお母さんがいるから」

ここがお母さんのお家だよって言っても、違うらしい。

何回も何回も帰ろうとする母を見て

一番辛かったのは父だっただろう。

認知症だと分かっていてもなんだかね・・・寂しいです。


ご家族の事で何かお話したい方は、一人で抱え込んでしまわないで下さいね。

私で良ければお話聞かせて下さい。






たんぽぽ

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